横浜FC

特別講師#1 松井大輔選手

2021.1.18 Mon

今回は横浜FC所属の松井大輔選手(以下松井選手)に講師を務めていただきました。

松井選手には、自身のこれまでの経験を踏まえ、今まで選手として大事にしてきた考えなどを、選手達に丁寧に伝えていただきました。

「自分の中で常に目標を持つ事が大事」。

最初に松井選手から出たキーワードでした。

 

中学卒業までは地元京都でプレーし、高校からはより厳しい環境を求めて遠い鹿児島の地でプレーをされました。そして高校卒業と同時に京都パープルサンガに入団し、海外移籍、ワールドカップ出場を経験。これらの経験ができたのは、その時々で常に目標を持っていたからと語っています。

本講座は松井選手の略歴を元に、その時のエピソードを語って頂きましたが、やはり選手達の興味を引いたのは、「海外でのプレー」と「ワールドカップの経験」でした。松井選手は、長くいたフランスでの経験を以下のようにお話しています。

 

『まず何故、フランスを選んだのかというと、オファーを頂いた中で、フランスリーグがフィジカルファーストであり、個人の能力が全てという特徴があったから。将来的にワールドカップに出場したかったから、最初は個人のスキルを一番上げる事のできる場所にした。』

ここでも、自分の目標達成のために逆算して選択している事が見て取れます。また、松井選手は海外でプレーし続けるために大事な事は、『自分の考えをしっかり持ち、それを意見として監督、スタッフにきちんと伝える事。

言語の重要性もそうだが、コミュニケーションスキルを磨く事が最も重要。

何故なら、自分の意見を言わないと相手にされず、場合によってはチームの失敗を自分の責任にされてしまうから。

日本だとチームのために潔く非を認める事が美徳とされているが、海外では全く違う。自分は悪くない。何故ならこういう理由だからと、きちんと伝える事が大事。そうでなければ、自分のポジションはあっという間に無くなってしまう。』とも仰っており、日本人と外国人のマインドに違いについても理解する事の重要性を教えていただきました。

 

また、冒頭で目標を常に持つ事が大事と仰っていましたが、同時に「自信を持つ事」も同じくらい大事と話しております。松井選手は、自信を一番持つ事のできたきっかけは、「2010年南アフリカワールドカップ」での経験と語っており、『ワールドカップで各国の一流プレーヤと戦い得た事が、自分をひと回りも、ふた回りも大きくしてくれた。ぜひみんなにも、ワールドカップを経験して欲しい。自信を持つ事は、すぐにできる事ではないが、常に厳しい環境に身を置き、その中でどの程度やれるのか。1vs1で抜いた、止めたなど、小さな自信の積み重ねをしていくしかない。』というお話もいただけました。

 

本講座では、松井選手が自身の経験から、プロサッカー選手として大事な事は、

①常に目標を持つ事、②自信を持つ事、③コミュニケーションスキル、の3点を教えて頂きました。

 

これからプロ選手としてのキャリアを築いていき、様々な選択に出会う中で、後悔をしている暇など無い、結局は自分の力で切り開いていくしか無いと、厳しいお言葉も中にはありましたが、選手達は、自身の夢を実現するために、多くの経験をしてこられた松井選手に対して、積極的に質問をする姿勢が終始見ることができました。

 

最後に松井選手から選手に対して、『他の人には歩く事のできない、自分だけの道を築いて欲しい。それが一番の財産になる。』とメッセージを頂き、講義を締めくくりました。

 

松井大輔選手 略歴

◼︎生年月日:1981年5月11日
◼️出身:京都府
◼️血液型:O型
◼️利き足:右
◼️ポジション:MF
◼️経歴
藤森中学校→鹿児島実業→京都パープルサンガ→ル・マン→ASサンテティエンヌ→グルノーブルフット38→FCトム・トムスク※レンタル→グルノーブルフット38→ディジョンFCO→スラビア・ソフィア→レヒア・グダンスク→ジュビロ磐田→横浜FC

1999年 全国高校選手権で、鹿児島実業として準優勝を経験。
2000年 複数のJクラブがある中、京都パープルサンガに入団。プロ1年目から、公式戦22試合に出場し、得点を挙げるなど活躍をする。
2003年6月22日のコロンビア戦で日本代表デビューを果たす。
2004年 フランス2部リーグ・ドゥのル・マンUCに移籍。松井の加入後、ル・マンは2部の中位から一気に1部昇格圏の2位にまで浮上し、その中心となって活躍した松井は、『le soleil du Mans (ル・マンの太陽) 』と呼ばれた。同年のアテネオリンピックではU-23日本代表の背番号10を背負った。
2008年フランスリーグ10度の優勝を誇るASサンテティエンヌへの移籍。
2010年 2010年6月に南アフリカW杯日本代表メンバーに選出され、全4試合にスタメン出場。グループリーグ第1戦カメルーン戦においては決勝ゴールとなる本田圭佑のゴールを右サイドからのクロスでアシストするなど攻守に活躍し日本代表の決勝トーナメント進出に貢献。決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦でもバー直撃のミドルシュートを放つなど活躍し、主力選手としての役割を果たした。後に公表されたFIFAの技術研究グループが作成したW杯南アフリカ大会の報告書では、ドリブル技術が高いと評価された。
2014年 ジュビロ磐田に移籍。翌2015年には、26試合3得点を記録し、磐田のJ1復帰に貢献。
2018年 横浜FCに移籍。翌2019年には、チームの13年ぶりとなるJ1昇格に貢献。

◼️A代表歴:通算31試合出場
2010年南アフリカW杯(全4試合出場)

 
「受講選手のコメント」

◼️斉藤光毅選手

本日、松井さんの講義を受けて様々な発見がありました。その中で、特に印象に残った事は、今の自分がやるべきことがそれぞれ2つある事です。
まず、一つ目は「目標設定」の大切さです。
松井さんのサッカーキャリアが成功につながっている理由はこの目標設定が大きいことだなと思いました。目標があることによって、自分の課題、やるべきことを明確にできるし、進むべき道もその目標から逆算できる、そしてどんなことがあってもぶれることなくやり続けられる。なので目標を持つことは本当に大切だと感じました。
2つ目は「ポジティブ思考」についてです。
今回の講義で松井さんは、後悔してる事、ネガティブな事を一つも話していませんでした。海外で試合に出れなかった時期や、監督とうまくいっていない時、チームの状況や、環境が悪かった時の話をしている時も、全てが経験で自分自身のためという言い方をされていました。このようなメンタリティーでいることによって、よくスター選手やレジェンドと言われる方々が言っているような「逆境を楽しむ」ということに繋がってくると思います。そして、このような気持ちでいることによって、自分自身が作り出してしまう、いらない先入観だったり、他人が生み出すようなマイナスな価値観、愚痴というものに惑わされず、自分の中の良い方向にだけ考え方を持っていくことができると思うので、ポジティブでいることは、自分自身の成長に強く関わってくるものだと感じました。
以上を踏まえ、今の自分がやるべきことの一つ目は,
色々な物事に対する考え方を変えることです。例えば、松井さんが言っていた海外の選手たちの考え方です。日本では比較的、周囲と合わせることや、気を使うことが美徳とされていますが、自分自身が活躍するためには、この考え方だけでは、ライバルとの差(違い)を作りづらいと考えます。もちろん、これは日本の長所でもありますが、自分は海外の選手のような、ボールが欲しいという欲求だったり、結果への貪欲さをもっともっと増やして、その中で日本人としてのいいところも無くさずやっていかなければいけないと思いました。
二つ目は、絶対的自信がつくような努力です。松井さんは、スターになるような選手に共通するものという質問に対して「自信がある人」、「能力を出せる人」と答えました。それを持つためには、色々な経験も大切ですが、その経験をするためにも努力が必要だし、努力をし続けることによって自信が生まれると思うので、絶対に努力はやめちゃいけないと強く感じました。

今回の講義を通して、今の自分を見つめ直すことができ、少し客観的に現状を見れた気がしました。自分のサッカーキャリアがより良いものにできるように、もっともっと努力し、考え、行動していこうと思います。

 
◼️松尾佑介選手
松井さんの講義を聞いて、本当に様々な事を経験してるすごい選手がチームにいることの価値を改めて感じました。多くの海外でのプレー経験が、今に活きていると感じました。
後悔したことは無いかという問いに、後悔していないし後悔している時間など無いとさらっと言っていました。本当にその通りだと思います。自分が決めたことを最後までやり抜く強さを感じました。松井さんは今まで様々な選択をしてきたと思うがそれに対して、自分で責任をとってきたからこその言葉だと思いました。
講義の途中で、フランス語でインタビューを受けている動画がありました。週2日フランス語のレッスンを受けている映像を見た時、きっとプレーだけでなくピッチの外でも努力をしないと海外では、チャンスを掴むことができないと感じました。
松井さんのキャリアハイは25歳~28歳。その時に自分がどこのチームにいて、どの様な生活をしているかなんて全く想像もつきません。しかし、どんな時でも自分らしく、もがきたいと思いました。そうやってもがくことで、自分に足りないものに気付き、それを埋めるために努力する。自分の武器や通用することが見えてきてそういったものが積み重なり自信になると思います。
世界の一流と言われる選手やスターが共通して持っているものという質問に対して松井さんは、自分の武器や自信を必ず持っていると答えました。それを聞き自分には武器と自信があるのかもう一度考えるきっかけとなりました。武器はそれぞれ違うが自信に関しては、どんな選手にも共通しているものだと思います。
海外にはよりすごい選手が多くいます。そういった選手と戦い、通用した経験が自信となるのだと思います。僕もいつか自分の見た景色や経験したものを他の選手に伝えられるようになりたいと思いました。僕のサッカー人生は誰のものでもない自分だけのものなんだと改めて感じ、これからも自分に期待し続けたいし、自分に投資していきたい。自分だけのサッカー人生を探し、作り上げていきたい。未来への旅。最高の響きです。「サッカーって最高だ」と再認識した講義でした。