コミュニケーションスキル➀
2021.3.11 Thu
2021年3月25日(木)に第4回目の講義を開催しました。講師は、メディアトレーナーの片上 千恵さんに務めていただきました。
JリーグやBリーグなどの新人研修で、メディアトレーナーの講師を務める片上さん。
ご自身の自己紹介も早々に、講義に参加している選手に対して、
「各自自己紹介をお願いします」
とカメラを片手に撮影に回る姿に驚きつつ、選手は短時間で自己紹介の動画メッセージを撮影していきました。一通り撮影後は、すぐさま講義を再開。
昨年世界中を襲った新型コロナウイルス感染症。いまなお続くこのウイルスとの戦いは、スポーツ界にも大きな影響を与えました。
・オリンピック・パラリンピックの延期
・各プロリーグの延期や打ち切り
・高校野球やインターハイの中止
・練習場所の封鎖
など選手を取り巻く環境は一変してしまいました。しかしそのような中でも、人々に力を与えられないかと様々なアスリートがSNSやZOOMを通じて、情報を発信。
アスリートの発信力が改めて見直され、その影響力の強さはこれまで以上に価値の高いものとなりました。
しかし時代もサッカーもグローバル化が進む中、日本人アスリートのコミュニケーションスキルはまだまだ「日本式コミュニケーション」と言わざるを得ません。
日本式コミュニケーションの問題点は、あいまいな質疑応答や明言を避ける会話、あまり多くを語らないことが美徳といった「ハイコンテクスト文化」が日本にはまだまだ存在し、少ない言葉から背景や状況、脈絡といったものを読み解かなければなりません。
一方ドイツなどでは直接的でわかりやすい表現を用いた対話が行われています。
この文化を「ローコンテクスト文化」と呼んでいます。
講義の途中では片上さんとの問答ゲームや実際のインタビューを想定したトレーニングが行われました。
選手との対話を繰り返す中で片上さんは対話・議論のコツを、「結論→理由→結論」で述べること。文章は出来るだけ短くすることで相手の理解力が高まることを伝えてくれました。
またナンバーリングを用いて、数字を事前に掲げることで、道筋が立てられ、情報が整理され、話の先が読める。聞き手にとって話の理解が深まることという事も大切なポイントだと仰っていました。
最後に講義の冒頭でそれぞれの選手が撮影された自己紹介の動画を確認。今日トレーニングした部分を踏まえて、改善点を選手と片上さんとで考察して講義は終了。
たった一度のトレーニングでも見違えるようにロジカルに話すことが出来る選手たちの姿がとても印象的でした。
これから世界で戦っていくことを夢見る選手たちにとって、表情や立ち振る舞いも含めたコミュニケーションスキル能力の向上は欠かせないものであり、自分のファンを獲得していく為にもしっかりとしたスキルを身に付け、表現者としてサッカーと同様に兼ね備えていくべきものだと感じました。
片上千恵さんプロフィール
■現職
帝京大学経済学部経営学科スポーツ経営コース 専任講師
IMAGE WORKS & Co.代表
■出 身 地
愛媛県
■経歴
NHK松山放送局キャスターなど10年余りのマスメディア側からの取材活動に従事。2003年よりJリーグクラブなどを中心に、様々なスポーツ競技の選手や指導者を対象にメディア・トレーナーとしての活動を開始。2007年には米国にてイメージコンサルタント資格を取得し、IMAGE WORKS & Co.を設立。企業の幹部やスポークスパーソンを対象にしたメディアトレーニング、プレゼンテーショントレーニング、危機管理対応トレーニング等も数多く手掛ける。びわこ成蹊スポーツ大学講師等を経て、2015年より現職。
■著書
- 「スポーツ・マネジメント理論と実務」(共著:東洋経済新報社)
- 「実践から読み解くスポーツマネジメント」(共著:晃学出版)ほか
■講演・研修等
- Jリーグ、Bリーグ、WJBL、ラグビートップリーグの全体新人研修 メディアトレーニング講師
- JFA(日本サッカー協会)公認S級コーチ養成講習会 プレゼンテーション講習講師
- JBA(日本バスケットボール協会)公認S級コーチ養成講習会 メディアトレーニング講習講師 ほか
選手の声
■前嶋洋太選手
今回のコミュニケーションスキルの講義を聞いて、新人研修の時と同様に改めてその大切さを知りました。意識すればさらにコミュニケーションスキルを高めることができるというふうに感じました。また先生はメディア関係の仕事をしていたということでメディア側の目線でのことをたくさんおっしゃっていたので、とても参考になりました。
自分はハイコンテクストの自覚があるので、自分の言葉で明確に説明することを日頃から意識することも大切ですし、メディア対応をする時、頭にしっかり入れて取り組むべきだなと思いました。言いたいことがまとまらずにダラダラと話してしまう癖もあるので、今回教わったナンバリングを有効活用したいです。
人前で話すことがあまり得意ではないので、人前で話す時にも使えるスキルをたくさん教わったのでそれを活かして、今後に活かしていきたいです。
ロジックやエモーショナルなど専門的な用語がありとてもわかりやすかったですし2回目以降の講義も自分の成長に繋げられるようにインプットしていきたいです!
■岩武克弥選手
片上さんの講義を聞いて、コミュニケーションスキルの大切さ、そしてインタビューの答え方などで印象が全く違うなと感じました。
まず、片上さんの自己紹介で最初と最後に名前を2回言ったところや、内容の入ってきやすさなど、自分の自己紹介に比べ、学ぶところがたくさんありました。横浜FCでの加入会見などの自己紹介でも印象に残ってないなと反省しました。試合後にインタビューを受けた際にも、答えられはするものの後で他の答えの方が良かったと反省する点が多くありました。またインタビューの最後に「応援ありがとうございました!」「次も応援よろしくお願いします」などの誰でも言えるような記憶に残らないことを言うのではなく自分の個性を出して答えるべきだなと感じました。最後にテレビなどで、編集の方がが編集しやすいように、短く一文一文切って話をすることなど、とても自分たちには想像がつかないところまで聞けたので今回の講義を今後いかしていきたいと思います。来週も片上さんの講義なので積極的に頑張りたいと思います。